ユキタケダ的 ヴィヨンの妻


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YUKIWORLD

第5景 レイプ翌日の図

 「主人もおりませんし、こんな式台でよろしかったら、どうぞ。」
 と私は言い、破れた座蒲団を二枚、式台に持って行ってあげました。・・・・・・・・・・。
 そうして、その翌る日のあけがた、私は、あっけなくその男の手にいれられました。
 その日も私は、うわべは、やはり同じ様に、坊やを背負って、お店の勤めに出かけました。
 中野のお店の土間で、夫が、酒のはいったコップをテーブルの上に置いて、ひとりで新聞を読んでいました。コップに午前の陽の光が当って、きれいだと思いました。
 「やあ、また僕の悪口を書いている。エピキュリアンのにせ貴族だってさ。こいつは、当っていない。神におびえるエピキュリアン、とでも言ったらよいのに。さっちゃん、ごらん、ここに僕のことを、人非人なんて書いていますよ。違うよねえ。僕は今だから言うけれども、去年の暮にね、ここから五千円持って出たのは、さっちゃんと坊やに、あのお金で久し振りのいいお正月をさせたかったからです。人非人でないから、あんな事も仕出かすのです。」
 私は格別うれしくもなく、
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」
 と言いました。

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